ベルナデッタとテレジアの地で「ユスト高山右近の列福を祈る」九日間の巡礼に参加して
立垣 昭 神父

9日間といっても移動にほとんど4日間を使っているので巡礼地で祈ることができたのは5日間になる。ルルドに2日、ヌヴェール、モンサンミッシェル、リジュにそれぞれ1日である。全部を通してこの巡礼は、私にとって何だったかを振り返ると、私たち   はみな地球市民なのだとの自覚だったと思う。 

 遠くフランスの片田舎の地にあっても、お互いに思いやって、祈りあい、助け合いながら生かして生かされているのだと実感できた旅だった。

 ルルドでは女子修道院に2泊したが、日本人のシスターが寄られて、「ルルドで毎日数多くのミサが捧げられているが、東日本大震災の後、毎日、必ず幾つかのミサは大震災で亡くなった人、被災した人、避難生活を送っている人たちのためにとの意向で祈っている。このことを巡礼にこられた皆さんが、日本に帰って日本の皆さんに伝えてほしい」と言われたのが心に残った。

 ルルドは聖域の入り口から一番奥の十字架の道行きの丘まで、すべてが聖なる祈りの場といった雰囲気に満ちていた。ルルドで泊まった修道院の聖堂での最初のミサ以外は、どの聖堂も布池の聖堂より大きく荘厳なたたずまいの中でのミサを捧げることができた。向こうで合流した京都地区の奥村豊神父さんは体も声も大きく、ルルドでは中心となる無原罪の聖母大聖堂で朝7時から合同プライベートミサを司祭6人を含む65人でお捧げした。フランス・イタリア巡礼は奥村神父、ルルドとサンチャゴ巡礼はアンリ神父と豊田尚臣神父(広島教区)、私たちのグループは29人で名古屋からの9人プラス由井・立垣の2神父、成田から合流した6人、関西空港からドゴール空港で合流したグループは12人、今回の案内と霊的指導司祭として若い山浦義春神父(コンベンツアルの聖母の騎士会)を含む12人がリジュまでの参加だった。

 19世紀後半、フランスにあってほとんど隠されていた二人の若い女性によってもたらされた人類へのメッセージは、物質文明の驚くべき発達のもとにあっても、なお霊によるたぐい稀な神の御旨への全面的自己譲渡と神と人への愛の結晶としてルルドの広大な聖域にそびえる大聖堂と、リジュの丘に建てられた大伽藍(大聖堂)に結ばれているのを体感した旅だった。


ー ルルド巡礼センター −